虫歯治療

虫歯とは

虫歯は、プラーク(歯垢)の中に潜む虫歯菌が作る酸が、歯のカルシウムを溶かしてしまう病気(感染症)です。

感染症であるだけに、原因を完全にシャットアウトすれば予防が可能ですし、しっかり治療すれば必ず治せます。

虫歯の原因について

虫歯の原因を考えたときに、「歯磨きが上手にできていない」「甘いものを飲んだり食べたりする」などすぐに頭に浮かぶと思います。もちろん歯磨きや食生活が問題にはなるのですが、最も重要なポイントは、虫歯は感染症であるということです。逆を言えば、虫歯の原因となる細菌がお口の中にいなければ、歯磨きをしなくても、食生活を気にしなくても大丈夫ということになります。

皆さんの周りにいませんか?甘いものをたくさん食べるし、歯磨きも決して上手とは言えない、ちゃんと磨いていないのに虫歯になったことがないという方。また、虫歯ってお口の中の全部の歯に同時に同じくらいの進行でなる訳ではなくて、なりやすい歯、なりやすい場所があるのです。

虫歯とは

何が言いたいか、それは虫歯になる原因は細菌と歯の質、食習慣といくつか挙げられますが、一つの理由ではなく、複雑な条件が整った場合に進行してしまうということです。

では、虫歯予防はどうするか。そんな複雑な状況で生じる虫歯ですから、予防法も厳密にはひとそれぞれ。食習慣に気をつけて、歯磨き習慣をしっかりとしつつ、定期的に歯科医院でチェックすることが重要ですね。気をつけているつもりでも、健診を受けるたびに虫歯が見つかる方、その原因を探して対処しなければ将来いつまでもおいしく食べることが困難になってしまう、もしくは治療費が非常に高くなってしまう可能性もありますよ。

歯科治療は日々の生活を支える医療です。虫歯になってしまった歯は、治療を行っても元通りにはなりません。虫歯で生えてくる歯はありませんので、生えたままのキレイは歯を維持するのが確実ですよね。早めの予防を毎日の習慣に。いつからスタートしても手遅れではありませんが、早いに越したことはありません。

早期発見が重要

早期発見が重要

初期の虫歯であれば削ったり抜くことなく、再石灰化を促して完治できるケースもあります。しかしある程度まで進行してしまうと、どんなに丁寧にブラッシングしても元通りになりません。
ご自身の歯を少しでも長く残すためには、早期発見・早期治療が重要ですので、何か症状や痛みを感じた際は早めの受診をおすすめします。

可能な限り歯や神経を残す
治療を心がけています

切っても新たに伸びてくる髪や爪と違って、削ったり抜いた歯は、二度と元通りになりません。そして、どんなに高度な治療や高級な詰め物をしても「生まれ持った歯」にはかないません。
ですから当院は「可能な限り削らない、抜かない」方針で虫歯治療を行っています。

一度削った歯は二度と再生されませんし、神経を取った歯は健康な歯に比べて歯質が弱く破折しやすくなります。
そういった歯の負担や、神経を取るリスクを減らして歯の寿命を延ばすために、虫歯に侵されている部分を慎重に削り、神経も可能な限り残すようにしています。

また抜歯は可能な範囲の限り、極力抜かない方向でまず治療計画を立てます。(もちろん保存不可能な歯もあります)

痛みの少ない治療

当院の虫歯治療の特徴

特徴①:痛みへの配慮

極細の針(35G)を使用して、
ゆっくりと麻酔します

歯科治療、特に虫歯治療は治療そのものに痛みを伴います。歯の神経は非常に痛みに敏感です。そこで、治療時には麻酔注射が必要となることがありますが、歯肉に注射する針は細ければ細いほど痛みが生じにくいです。

ただ、あまりに細いと針が折れる、注射薬が入っていきにくいといった不具合が生じます。そこで、当院では歯科で使用できる針の中で極細の針(35G)も使用しています。

極細の針(35G)を使用して、ゆっくりと麻酔します

そして、注射前には刺入点に表面麻酔薬というゼリー状の麻酔薬を塗り、歯肉の表面をしびれさせてから、薬剤をゆっくりと注入することで極力痛みを抑えて麻酔注射を行うように心がけています。

さらに、温めた麻酔液を使ってゆっくり一定の速さで圧力をかけますので、注入時の違和感がほとんどありません。
治療を終えると、多くの方が「痛くありませんでした」とおっしゃいます。できる限り痛みを与えない努力をしていますので、痛みに対して不安が強い方はご相談ください。

治療開始前の診査をしっかりと行い、
痛みの原因を把握、適切な施術を心がけています

歯科治療時に注意すべきことは、治療時に痛みが生じないことです。

治療前に、行う施術によって途中で痛みが生じる可能性があれば先に麻酔を実施する必要があります。あるいは、治療の段階を分けて、応急処置を行い、鎮痛剤や抗生剤を服用してもらい、炎症が消失してから治療を行うなどの配慮が必要です。

治療時に生じる痛みを極力なくせるように治療前の診査診断をしっかりと行っています。

治療開始前の診査をしっかりと行い、痛みの原因を把握、適切な施術を心がけています

鎮痛剤を適切に処方

痛みに対して、歯の治療ですっきり痛みゼロにできればよいのですが、痛みが強く出ていた歯を治療して強い痛みを軽減できたとしても治療の刺激による痛みもあります。

治療後に生じる痛みに対しては、鎮痛剤を適切に服用していただくことが大切。鎮痛剤を複数種類用意していますので、お体の状態に合わせて適切に処方させていただき、治療後に生じる痛みにも配慮した治療を行っています。もちろん、ご家庭に鎮痛剤がストックせれていて希望がない方には処方しておりません。

鎮痛剤を適切に処方

特徴②:精密な虫歯治療

精密な虫歯治療

虫歯治療は、虫歯を取り残すと再発のリスクがありますし、かといって過剰に歯を削ってしまうと歯が欠けたり折れたりするリスクもあります。誰だって健康な部分は残して欲しいですよね。精密な虫歯治療を行う上で、欠かせないのがルーペ(拡大鏡)です。

治療時にはルーペ(拡大鏡)を使用し虫歯の部分を正確に把握したうえで対処しています。う蝕検知液という虫歯の取り残しを確認する薬剤もありますので、何度も確認しながら適切かつ精密に治療を行っています。

虫歯の予防について

虫歯予防の重要性

歯は乳歯から永久歯には生え変わりますが、永久歯は抜けたら生えてきませんし、削ったら元には戻りません。虫歯は予防できる病気です。親知らず(智歯)を除けば、永久歯は全部で28本。

手足の指と同じで、それぞれ役目がある大切な歯です。たくさんあるから1本ぐらいなくたって平気というわけにはいきませんよね。

かつては虫歯の洪水と言われた時代があります。「歯をみがきましょう!甘いものは控えましょう!」と言われた時代です。今の日本人、ほとんどの方が毎日歯を磨いています。それでも虫歯はゼロにはなりません。

変化する生活習慣、食習慣に合わせて、今の時代に合った虫歯予防が大切です。

医院で行う虫歯予防

虫歯予防には、攻撃と防御があります。攻撃の主となる行為が、お口の中、特に歯の表面の歯垢(プラーク)を除去する歯磨きです。歯間ブラシやデンタルフロスなどの補助器具、デンタルリンスでの洗口もそこに含めて考えたいと思います。

歯科衛生士によって行われるメンテナンスも歯の表面から歯垢をしっかり除去しますので、日常の歯磨きでは取り切れない歯垢を除去する点で大変重要な予防処置と言えます。

では、防御となるのは何か?それは、歯の質そのものを強くすることです。それには、フッ化物を使用します。

歯磨剤に含まれているフッ素だけでなく、歯科医院で使用指示されるフッ化物洗口やフッ化物塗布などがあります。

ご家庭でできることもありますが、歯科医院でしかできないフッ化物を使用した歯の強化、ならびに予防処置、そしてシーラント(小窩裂溝充填)などを駆使して虫歯予防を行いましょう。

医院で行う虫歯予防
自宅で行う虫歯予防

自宅で行う虫歯予防

虫歯の原因が細菌であることは前述しました。では虫歯予防として自宅でできることは、もちろん歯の表面から細菌を除去する「歯磨き」となります。歯磨き時には、お口の中全体を極力きれいにすることが大切。

隅々までしっかりと、そして舌の表面についている舌苔も除去することを忘れずに。口が乾きやすい方は、歯肉の表面にも歯垢が付着します。

磨いた後は鏡でチェックしましょう。お風呂掃除を思い出してください。数種類の洗剤、スポンジ、ブラシ、カビ防止のコーティングなどなど様々なものを使用します。

歯磨きを歯磨剤と歯ブラシだけで行っている方、歯科医院で歯科衛生士からご自身にベストな清掃用具を処方してもらい、しっかりと使いこなせるように指導してもらいましょう。虫歯予防は、あなたと歯科衛生士の二人三脚で。

虫歯の進行状況と
治療方法

C0(初期う蝕、要観察歯)

歯が溶け虫歯が始まっていますが、まだ穴があいたり黒くなっていない状態です。治療は、フッ素入りの歯磨き剤を使用してきちんと歯を磨くことで、歯を再石灰化できます。

C0

C1(エナメル質う蝕)

歯の表面を覆っているエナメル質が虫歯菌によって溶け、小さな穴があいた状態です。まだ象牙質に達していないため痛みはありません。
治療は、歯を必要最小限削り、保険適用の白い詰め物を入れます。

C1

C2(象牙質う蝕)

虫歯がエナメル質の下にある象牙質にまで達した状態で、冷たいものや甘いものがしみることがあります。また、触れると痛みを感じるので、治療をするときは麻酔が必要です。

治療は、虫歯が小さければ保険適用の白い詰め物を入れて終わります。虫歯が奥深くまで広がっている場合は患部を大きく削り、詰め物や被せ物を作って装着します。

C2

C3(神経まで達したう蝕)

虫歯が歯の内側にあるエナメル質と象牙質を溶かして神経まで達している状態です。激しい痛みを感じることが多く、神経が壊死してしまうと細菌が根の外で炎症を起こして膿が出たり、歯ぐきが大きく腫れます。
治療は、麻酔をして壊死した神経や膿を取り除く根管治療をします。

C3

C4(残根状態)

歯のほとんどがなくなり、根だけが残っている状態です。この段階になると治療が難しくなり抜歯が必要です。

治療できる歯質が残っている場合は、根管治療で歯を保存します。

C4